前述したように私の松江哲明の評価は非常に低い。

 トウシロとみなしている。

 その上で彼の「童貞。をプロデュース」に言及したブログを読んだが、さもありなんな内容で呆れてしまった。おぼろげな記憶では本作はドキュメンタリーとして発表されたと記憶していたが、実際にはヤラセばかりでドキュメンタリーではないのである。

 それ、ただのヤラセちゃうのん?

 童貞が女子を相手にすったもんだし、ゲロまで吐いてるらしいので、なんだかインパクトのあるシーンが連続して退屈はしなさそうだ。赤羽ドラマと違い、まだ山があってオチもありそうで、物語としてちゃんとしてそうである。

 全部が「~~そうだ」なのは、本作をそもそも観てないから。観ないで言及してることは、強調しておきたい。

 ……で、ドキュメンタリーと自称しておきながらヤラセばかりというのも、創作態度がいかがなものかなんだが(詐欺でしょ?)、出演する役者さんたちへの接し方が人間としていかがなものかというブラックぶりなのである。

 そりゃいいものを制作するためには、役者に無茶を要求するのはやむなしなところはある。ブラックにやればやるほど、いいものになる場合もある。

 松江哲明の物語づくりのレベルが低いので、逆に役者に無茶やらせてインパクトを強めないと場がもたないのもわかる。初期作品ゆえに監督スキルも低いし、役者だって山田孝之ほどの演技力があるわけがない。

 しかしブログを読む限りでは松江哲明の人格が、そもそも人間失格というレベルで最悪なので呆れさせられた。人としてもう完全にダメ。

 最悪なのは「フェラチオ強要」までしており、これって今の感覚では犯罪ですからね。自称ドキュメンタリー監督がヤラセをやり、しかもそれが監督が段取りした性犯罪の現場を撮影して公開するという凶行をやらかしたわけで、そりゃ急遽、公開中止になるのは当たり前でしょう。

 犯罪ビデオで金とってみんなに見せてどうするのよ? 撮影した映画監督がそもそも有罪確定で、犯罪ビデオと知ってて公開したなら映画館も立場的に法的にマズいんでないの? 知らないで公開しても、法的にセーフでも社会的には責任を問われそうだし。

 撮影当時の感覚としては、フェラチオを強要しても、それは「嫌々ながらフェラるシーンをリアルに撮影する」ということでセーフだった。同意してはいないが、最終的には同意がとれてるのだからOK。

 ……といった感覚であった。

 ところが現在の感覚では、これは性犯罪。強姦や強制わいせつに該当しかねない、かなりヘビーなシロモノなのである。松江哲明監督のツイッターをチェックしたらお子さんがいらっしゃるようだったが、学校に通うようになったら授業の父兄参観などできないんじゃないですかね。

 授業参観するママたちの隣で、我が子を見守る性犯罪者男がいるなんて、PTAが許すわけがない。まして小中学校には女子小学生や女子中学生が大量にいるわけで……。松江哲明の校内侵入を、女生徒、母親、女教師と、全ての女性が大反発しかねない。

 いや、たかがエロビデオを撮影しただけで、そこまで存在を全否定されるのは酷だとは思う。しかし撮影当時は合法でも、現在の感覚では非合法でアウトだからなあ。性犯罪者が地上波テレビ番組を制作するというのも、これまた抗議が殺到しそうだし。

 なんかもう、時の流れはいかんともしがたいもので、町山智弘の愛人づくりや、松江哲明のフェラチオ強要を、身内レベルですらもはや認められなくなったのはさびしいことなわけだ。

 昔はやってもよかったわけじゃん!

 むしろ皆で喜んでたじゃん!

 ……そんな風に私は考えてしまう。

 ただ撮影目的で良質なものをつくるためとはいえ、虐待と表現してもいいほどの行為を役者に対して行い、その後も人間としてありえない配慮のない傲慢な態度をとり続けたことは、当時としては普通にセーフでも、現在ならばアウトなのだ。

 さすがに現在の松江哲明が山田孝之を虐待するわけないし、そのような制作手法をとるわけがないので安心していい。時代の狂気と、若気のいたりの両方がひきおこした特殊なことだったのだから。

 再発することはないんだよね。

 ただそんなことした背景には、ドキュメンタリー監督としても、フィクションをつくる映画監督としても、トウシロでしかない松江哲明の能力の低さがある。そうしないと鑑賞に耐えるものがつくれなかったろう。

 だからヒッチコック、ベルトルッチ、キム・ギドクの撮影手法と同じだと、彼らと自分を同格に自称するのははっきり言って勘違いだ。彼らの水準に松江は達していないどころか、はるかに下のレベルにあるのだから。

 それら巨匠と松江哲明は同じですと言いたいのなら、巨匠たちがそうしたように一流どころの役者である山田孝之にフェラチオ強要くらいしてから吠えるべきだろう。

 山田孝之にフェラ強要。

 完全アウトの違法動画だが、見てみたいものである。

 タイトルはもちろん「闇ビデオのマツエ君」。